研究概要 |
1,ハムスター骨肉腫に対し,MDP (muramyl dipeptide)製剤であるMDP-Lysが肺転移抑制能を有することがわれわれの実験で初めて証明された.そこでリポソーム膜内封入MDP-Lysの効果的な投与経路および投与量を決定し,より効果的な肺転移防止療法の確立を目的とし以下の実験を行った. 1) MDP-Lys単独投与によるハムスター骨肉腫に対する至適投与量を決定するために50, 5, 0.5μg/毎日皮下注の3群を作成し,腫瘍移植後3週,7週での肺転移率を算出した.2)リポソーム膜内封入MDP-Lysのハムスター骨肉腫に対する至適投与量を決定するために20, 2, 0.2μg/週2回静注の3群を作成し,腫瘍移植後3週,7週での肺転移率を算出した. 2, 1)腫瘍移植後3週,7週ともにMDP-Lys単独投与では50μg/毎日皮下注で肺転移は有意に抑制された.5, 0.5μg/毎日皮下注の2群では肺転移は抑制されなかった. 2)腫瘍移植後3週,7週ともにリポソーム膜内封入MDP-Lys投与では20μg/週2回静注で肺転移は有意に抑制された.2, 0.2μg/週2回静注の2群では肺転移は抑制されなかった. 3,現在アドリアマイシン単独投与によるハムスター骨肉腫の腫瘍原発巣に対する局所効果を検討し,これをコントロール群とした.DPPC (Dipalmitoyl phosphatidylcholine)を用いて温度感受性リポソームを作成し,アドリアマイシンの封入率を測定している.今後アドリアマイシン封入温度感受性リポソームを用いてハムスター骨肉腫原発巣に対する局所効果を検討する.
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