現在、腱板の血流の状態と肩関節周囲の軟部組織の神経分布について、実際の症例と動物(ラット)に対して同時進行の形で研究している。 腱板の血流については、実際の症例では、肩関節の手術の際に非接触性laser-Doppler folwmetry(Advance社)を使用して、これまでに15症例で測定を行っている。安静時内転0°での血流はほぼ一定で5〜7ml/min.で、牽引を加えると、急激に血流は増加し、牽引をやめると急速に血流が減少し、症例によっては、ほとんど血流が0になる例があった。その後血流は、また安静時の5〜7ml/min.に戻る傾向であった。最高血流量には、ばらつきが多く、同一症例でも安定した値は得られなかった。また、減少した血流の回復時間にもばらつきが多く、一定の傾向は現在まではっきりしていない。ラットを使用した動物実験でもほぼ同様の傾向が得られており、更に症例を加えていき検討したいと考えている。 一方、肩関節周囲軟部組織の神経分布についての研究は、実際の症例より得られた標本と動物実験からの標本を免疫組織化学的に検索しているが、個体差があり、牽引ストレスとの関連性については、現在まで何も分かっていない状況である。更に、症例を重ねていきたい。
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