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我々は、成長期の高血圧自然発症ラット(SHR)に小児ペルテス病に類似した大腿骨頭壊死が頻発すること、また通常のウイスター京都ラット(WKY)でも大腿骨頭に過剰な機械的ストレスを加えることによって同様の病変が発生することを見い出した。これらラットの大腿骨頭壊死では、栄養血管が骨頭外側で閉塞する。本研究は、小児ペルテス病の発生予防と治療法を確立する一環として、そこへの過剰な機械的ストレスが大腿骨頭壊死の発生にどのように関与しているかを明らかにする目的で行った。
大腿骨頭に加わる機械的ストレスは、起立動作と密接な関係がある。そこで食餌の際にラットが必ず起立するような高さ27cmの飼育ケージ(高ケージ群)とに全く起立できないような高さ10cmの飼育ケージ(低ケージ群)を作製し、SHRとWKYを生後5週目から両群に分けて飼育した。そして高ケージ群のラットは、1日に1ないし2時間起立することを実験動物行動分析システムによって確認した。生後9、12、15週目に大腿骨頭を摘出し、軟X線撮影後にHE染色切片を作製した。
大腿骨頭壊死の発生頻度は、SHRでは高ケージ鮮より低ケージ群が低かった。WKYでは高ケージ群で高頻度に発生したのに対して、低ケージ群ではほとんど認められなかった。WKYの高ケージ群のそれは生後15週目だけに頻発し、機械的ストレスによる骨頭外側の栄養血管侵入部近傍の軟骨組織異常がこの時期に顕著になった。この異常所見は大腿骨頭へ繰り返される機械的ストレスの蓄積によること、そしてそれは大腿骨頭壊死の発生に密接に関係していることを明らかにした。これらの結果については、平成8年と平成9年にオランダとイスラエルで開催された国際整形災害外科基礎学会(SIROT)および第11回と第12回日本整形外科学会基礎学術集会で発表した。
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