研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)は原因不明の難治性疾患であり関節炎の進行により関節軟骨の破壊を生じ患者に著しい疼痛と関節機能障害をもたらす。この過程において特にRAでは関節液中の抗2型コラーゲン抗体やリウマトイド因子などの自己抗体やCD44などの様々な接着分子の関与が想定されている。本研究においては今年度CD44のRA軟骨における動態を免疫組織学的手法およびフローサイトメトリーを用いて検討した。 1.CD44のRA関節軟骨への発現 1)組織学的解析 人工関節置換術の際に得られたRAや変形性関節症(OA)の軟骨においてCD44の発現を免疫組織学的に検討したところ、RAでは軟骨細胞のCD44陽性率は平均93%で、OAの59%、大腿骨頚部骨折時の骨頭軟骨(FF)の46%に比べ有意(p<0.005)に高かった。アイソフォームを検討したRA16関節においてCD44Hの陽性率は91%,V3は0%,V4/5は1%,V6は2%,V7/8は10%,V10は2%であった。OA9関節においてCD44Hの陽性率は52%,V3は1%,V4/5は0%,V6は0%,V7/8は20%,V10は0%であった。FF9関節においてCD44Hの陽性率は45%,V3,V4/5,V6,V7/8,V10はすべて0%であった。すなわちRAおよびOAともにhaemopoietic formの発現が大部分を占めた。 2)フローサイトメトリーによる解析 関節軟骨を酵素処理して軟骨細胞を分離し10%FCS下で浮遊培養し、フローサイトメトリーにて細胞表面のCD44の発現を見ると24時間でRAで平均39%,OAで平均52%の軟骨細胞が陽性となった。正常関節軟骨では平均10%で陽性となった。
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