研究概要 |
変形性足関節症、変形性膝関節症におけるアライメントと荷重の関係を有限要素解析法、統計的最適化手法を用いて検討した。【解析モデルと方法】膝、足、距骨下関節を考慮した要素数1299、接点数1422の2次元有限要素解析モデルを作成した。大腿骨中心に垂直方向に100Kgfの荷重を加えた。骨切り角度をα、脛骨内反角度をβ、距骨内反角度をγ、踵骨内反角度をφとした。各関節の力学的挙動と前述したパラメータとの関係式を求めるために直行表を作成し、得られた16通りの組み合わせの解析を行った。推定式にはCheviyshevの直行多項式、Y=Σ Yi+b0,Yi=b_1(Ai-mAi)+b_2{(Ai-mAi)^2-(a^2-1)h^2/12}+・・・(A:要因、mA:水準値の平均値a:水準数、b:係数、h:水準間隔)を用いた。前述した16通りの解析結果を用いて、P=47.64-8.6(α-7.5)+9.92(β-6)+1.64(γ-5)+0.1400{(γ-5)^2-13.86}-1.16(φ-10)-0.0021{(φ-10)^2-55.61}の推定式を求めた。この推定式より、内側膝関節の合力を0Kgfとするようなαをもとめた。【結果】変形性膝関節症のみの場合には20.4度、変形性膝関節症と足関節症とを合併した場合には22.3度の脛骨近位での骨切りが必要であることが算出された。また、足関節における、応力解析の結果では、脛骨近位で骨切り術を施行した場合、距骨下関節の代償が良好な場合には手術前に足関節内側に集中していた荷重が外側へ移行することがわかった。これらのことより、下肢アライメントの変化が足関節に大きく影響し、人工足関節置換術を施行する場合には先ずアライメントを正す必要があること、また距骨下関節の代償機能が損なわれている場合には、人工足関節に過度の応力集中が生じる可能性があり、今後この分野での研究、解析が必要であると考えられた。
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