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1998 年度 実績報告書

細胞代謝機能からみた関節の加齢変化機序解明に関する超微形態学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08671675
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

蟹江 良一  名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (80080000)

キーワード関節軟骨 / 超微形態学 / 損傷関節軟骨 / 関節軟骨修復 / 細胞集団(cluster) / 骨髄未分化間葉系細胞 / 線維軟骨での代償的修復 / 機能的修復
研究概要

関節組織のうちでは関節軟骨に最も早期から加齢変化が出現することをすでに確認しているが,形態学的破綻に対する修復態様の解明は加齢変化の進展速度の理解において意義があり重要である。他臓器や他組織にみられるような修復機転がどの程度まで軟骨組織に認められるかに関してはいまだ定説をみない。そこで本年度は臨床的にも遭遇しやすい,関節軟骨の深部まで達する損傷の治癒過程を中心に超微形態学的に検討した。
成熟家兎膝関節で大腿骨顆部に直径1mmの打抜き創を与えた。これは軟骨層及び軟骨下骨組織にまで達する組織欠損を伴う機械的損傷である。欠損部に生じてくる補填組織並びにその周囲の軟骨を経時的に観察した。小孔は骨髄からの未分化間葉系細胞の増生による結合織性組織により充填され,やがて創縁がらはみ出して創部全体を覆う。小孔周囲の残存軟骨部では,異常に細胞数が増し,一塊となりいわゆる細胞集団(cluster)が形成される。これは軟骨細胞自身による修復機序であるが,これには限界があるようで6週間程で細胞活性は低下し,なかには殆ど壊死寸前の細胞集団も認められ,細胞は死滅への過程を辿り,これによる真の修復は無理のようである。一方,欠損部の充填組織は早期には線維芽細胞と束状の膠原原線維が主であるが,経時的に細胞は丸味を呈し軟骨細胞類似のものが観察されるようになる。残存周囲軟骨部への浸潤所見もみられ,壊死に陥った本来の軟骨細胞近くに代謝機能の高いこれらの細胞が認められることもある。細胞周辺の無定形物質や通常の硝子軟骨基質部とは異なる束状線維像などを考慮するとき,骨髄未分化間葉系細胞からの線維軟骨への分化を伴った軟骨の修復機序を示していると思われる。以上より組織欠損を伴う硝子軟骨の修復は,他組織にみられる様なそれ自身の再生は認められず,積極的ではないが,線維軟骨による代償的,機能的修復が主体をなすものと考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Kanie, Ryoichi: "Ultrastructural Study on the Aged Articular Cartilage" Electron Microscopy 1998, Vol. IV. 831-832 (1998)

  • [文献書誌] 蟹 江 良 一: "関節軟骨の損傷と修復に関する電顕的検討" 日本臨床電子顕微鏡学会誌. 31・増刊. S104 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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