[研究目的]軟骨組織内のグリコサミノグリカン(GAG)の濃度減少は軟骨の変性に直接かかわるために、これをin vivoで定量することが可能になれば臨床的にきわめて意義深い。GAGは軟骨基質内では解離して陰性荷電を有し、陽イオンであるナトリウムイオンと電気的に結合する。このため、変性軟骨ではGAGの減少にともないナトリウムイオン濃度も低下する。このことから、軟骨組織内のナトリウムイオン濃度を^<23>Na-MRI法を用いて画像化すれば軟骨基質内のGAGの分布を画像として示すことが可能となり、in vivoでの軟骨組織の変性度の定量が可能であると考えて研究を企画した。 [研究方法]まず基礎データとして正常、および変性関節軟骨のナトリウム含有量および^<23>Na-NMR緩和時間を測定する。さらに、^<23>Na-MRIにより関節軟骨の画像を得て基礎的データをもとに得られる画像を分析し、^<23>Na-MR画像における信号強度と軟骨の変性度の対応を明らかにする。 [研究結果]関節軟骨内のナトリウムイオン濃度とGAG濃度は正の相関を示した。^<23>Na-NMR法による緩和時間の測定では、緩和時間とGAG濃度の間に負の相関を認めた。以上の基礎的研究結果をもとに^<23>Na-MR画像を得ると、正常な関節軟骨は選択的に高信号となった。現在、変性軟骨に関しても検討中である。^<23>Na-MRI法は解像力が悪いことが問題であるが、関節軟骨の機能を非侵襲的に測定するにはきわめて有用な方法である。
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