家兎の耳で3×4.5の大きさで皮弁の中央に通過動・静脈が通過する様にデザインし、皮弁のより中枢で中心動・静脈との間でshuntを作製し、皮弁末梢部の静脈を温存したArterialized venous flapが生着可能なことを報告してきた。還流静脈が1本の場合(Group 1)は欝血のために、皮弁は壊死に陥り、2本にした場合(Group 2)は皮弁が生着した。今回、還流静脈が1本でもこの皮弁が生着しうるモデルを作製した。 方法:家兎11羽の両耳に22皮弁作製し、皮弁作製部位の中枢で中心動・静脈吻合し、2週間後に吻合部末梢で3x4.5cmの皮弁を作製しGroup 3とした。皮弁内末梢の中心静脈のみを温存し、皮弁を剥離した。皮弁生着の判定は皮弁作製後2週間後に行った。 結果: 22皮弁中2皮弁は完全壊死、10皮弁は部分壊死に、その内の5皮弁は30%以上の範囲が、他の5皮弁は30%以下の範囲が壊死となる。10皮弁は完全生着した。 考察:還流を1本温存したGroup1では10皮弁の内9皮弁が完全壊死、1皮弁は30%以上の範囲が壊死に陥った。還流静脈を2本温存したGroup 2では、20皮弁の内、3皮弁は30%以上の範囲が壊死に陥ったが、残りの17皮弁は完全生着した。今回のGroup 3はGroup 1と2の中間に位置する。完全生着しなかった理由として。(1) shunt後の待機期間の間違い(2)皮弁内の血流が逆行性のためにmicrocirculationが順調に作動せず部分壊死が生じた。と考えられた。
|