研究概要 |
(方法)ラット背側2×3cm動静脈を温存した皮弁を挙上し、同部位に再度縫合した。処置2日後これら皮弁を再度挙上し、動静脈を温存するA群(N=10)、静脈のみ温存するB群(N=10)、動静脈ともに遮断するC群(N=10)を作成した。またコントロール群として皮弁を再度挙上しないD群(N=10)を作成した。この時点でBrdUを腹腔内に投与し1時問後皮弁を採取した。これら皮弁を4%パラホルムアルデヒド固定後パラフィン包埋し、切片を作成後、以下の操作をおこなった。(1)100%アセトンにて脱パラフィン (2)100%エタノール→50%エタノール (3)PBS洗浄5分×3 (4)4N HCL20分 (5)Borax Buffer溶液 5分×3(6)ペプシン加0.1N HCL37°C 20分 (7)PBS洗浄5分×3(8)抗BrdU抗体 60分 室温(9)PBS洗浄5分×3(10)FITC標識抗マウス抗体 室温 60分(11)PBS洗浄5分×3(12)蛍光顕微鏡にて観察(結果)A群:表皮細胞全体にBrdUの取り込みを認めた。B群:表皮細胞の部分的にBrdUの取り込みを認めた。C群:BrdUの取り込みを認めなかった。(考察)皮弁を2目前に前処置することにより、母床創での傷治癒の影響によりD群で示された如く、表皮細胞の細胞分裂が促進された。この細胞分裂が促進された状態での、動静脈を温存したA群、静脈のみ温存したB群、血行を遮断したC群における循環動態の差を、BrdUの取り込み観察することにより検討した。B,C群の結果から、動静脈を温存したA群には劣るものの、静脈を温存することにより皮弁内の循環が保たれたことが証明された。
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