研究概要 |
平成8年度は、成熟白色家兎30匹を用いて耳介背側に動脈を含まない6×4cmの有茎静脈皮弁を作成し血管茎に含まれる組織の違いにより以下の3群に分類し、皮弁の生着を観察した。 Group 1 (10皮弁):血管茎を1本の静脈と静脈周囲のareoler tissueとする。 Group 2 (10皮弁):血管茎を一本の静脈、areoler tissue、神経束とする。 Group 3 (10皮弁):血管茎に一本の静脈、areoler tissue、神経束、および耳介直立筋を含める。 血管茎の長さは6cmとし、耳介基部まで剥離し、皮下トンネルを通し家兎の露出した頭蓋骨上に移植した。皮弁生着の検索方法は以下の通りとした。 (結果)肉眼的所見:移植2週後にて Group 1の1例は完全生着し、残りの9例は部分生着した。生着面積は、36.7±10.1%(mean±SE)であり、表層壊死を伴ったものの最終的に生着した面積は52.7±8.5%(mean±SE)であった。 Group 2の1例は完全生着し、のこりの9例は部分生着した。生着面積は、65.1±7.8%(mean±SE)であり、表層壊死を伴ったものの最終的に生着した面積は82.5±6.8(mean±SE)であった。 Group 3は、10例全例とも完全壊死を起こした。 さらに、Microangiography、組織学的検索を行った。 これらの結果より、血管茎にareolar tissueおよび、神経を含めた有茎静脈皮弁は血流の悪い移植床でも、小さな面積であれば生着可能であると考えられた。また、同皮弁を臨床的に応用し、22-25, March, 1997にPerth, Australiaにて開催されるInaugural Scientific Meeting of the Asian Pacific Federation of Societies for Surgery of the Handにおいて発表を予定している。
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