研究概要 |
材料と方法:成熟白色家兎43匹を用い耳介背側に動脈を含まない6×4cmの有茎静脈皮弁を作成し血菅茎に含まれる組織の違いにより以下の5群に分類し、皮弁の生着を観察し静脈、areolar tissue、神経のそれぞれの役割について評価した。 Group 1(11皮弁):血管茎を1本の静脈と静脈周囲のareoler tissueとする。 Group 2(10皮弁):血管茎を一本の静脈、areoler tissue、神経束とする。 Group 3(10皮弁):血管茎をareoler tissueのみとする。 Group 4(6皮弁):血管茎をareoler tissueと神経束とする。 Group 5(6皮弁):血管茎を静脈のみとする。 血管茎の長さは6cmとし、皮下トンネルを通し露出した頭蓋骨上に移植した。移植2週後にて生着面積をpersonal computerを用いて測定し解析を行った。 結果:表層壊死を伴ったものの最終的に生着した面積はGroup lが52.7±8.5%(mean±SE),Group 2が82.5±6.8%(mean±SE),Group 4が22.5±5.8%(mean±SE)であった。Group 3とGroup 5は全例とも完全壊死を起こした。 考察:血管茎にareolar tissueおよび、神経を含めた有茎静脈皮弁は血流の悪い移植床でも、小さな面積であれば生着可能であるものの、血菅茎が静脈およびareoler tissueのみでは皮弁は生着し得ないことが判明した。さらに血菅茎を神経とその周囲のareolertissueとすると一部ながら皮弁は部分生着する。この事より、神経およびその周囲のareoler tissueの中に存在するvascular networkが少なからずとも皮弁生着に影響していることが示唆された。
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