研究概要 |
本研究では、行動薬理学的に機能障害の評価が可能な動物を用いて慢性圧迫性神経根障害モデルの作成を試み、機能障害と神経組織の病理組織学的変化の関連性について検討を進め、以下の結果を得た。 1)自己髄核による神経根の圧迫モデル(rat)では、患肢で圧刺激に対して痛覚過敏が観察されたが、知覚鈍麻や運動麻痺は観察されなかった。このモデルでは処置後2週、4週、6週と経時的に神経根周囲の瘢痕組織が増大し、それにより神経根が機械的に圧迫される傾向にあったが、圧迫の程度は大きいものでも30%前後であった。一方組織学的には、処置後6週群の患側神経根で、Kluver-Barerra染色における染色性の低下が観察され、脱髄の可能性が示唆された。また処置後3日目に硬膜外からステロイドを注入したratでは、圧刺激に対する痛覚過敏が一過性に抑制される傾向を示したが、組織学的には差はなかった。 2)自家腸骨とb-FGF,chromic gutを用いた圧迫性神経根障害モデル(rat)では、処置後3〜6週で約1/3のモデルにおいて中心性狭窄GA外側部狭窄が観察された。骨性狭窄の程度は30〜50%くらいまでであり、大部分は神経根周囲に間隙が温存され、直接神経線維を圧迫するまでには至らなかった。これらの骨性狭窄は処置後12週には縮小あるいは消失していた。行動薬理学的には、このモデルでは有意な運動麻痺や知覚鈍麻、疼痛反応を認めなかった。
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