研究概要 |
変形性関節症は進行性に関節軟骨の摩耗をきたす疾患である.その原因として軟骨に対する機械的ストレスの存在が示唆されてきたが,その詳細は不明であった.これは細胞レベルでストレスを加えることが困難であったことに基づいている.我々は科学研究費補助金によりFlexercell strain unitを導入し,この問題を検討してきた.平成6年度は機械的ストレスに対する軟骨細胞の応答を中心に検討を行った.我々は以前より軟骨細胞代謝におけるプロテインキナーゼC(PKC)の関与を検討してきた.そこで平成7年度は,この機械的ストレスにおけるPKCの関与を中心に検討を行った.周期的牽引負荷は軟骨のプロテオグリカン合成能を低下させた.細胞をホルボールエステルで前処置しPKCをdown regulateさせた後に牽引負荷を加えると,このプロテオグリカンン合成の抑制は見られなかった.以上の結果より,機械的ストレスによる軟骨細胞代謝の変化にPKCが関与することが示唆された.今後は牽引負荷によるPKC活性自体を測定してゆく予定である.
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