研究課題/領域番号 |
08671703
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
永田 見生 久留米大学, 医学部, 助教授 (50140687)
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研究分担者 |
井本 浩樹 久留米大学, 医学部, 助手 (20289466)
石橋 和順 久留米大学, 医学部, 助手 (20193352)
大橋 輝明 久留米大学, 医学部, 講師 (30167308)
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キーワード | 脊髄硬膜 / 骨膜 / 骨化形態 / 骨化防御因子 |
研究概要 |
実験動物は平均体重1.5Kg、生後3か月の家兎を用いた。前腕骨より骨膜を8×8mm大に剥離摘出し、その新鮮骨膜を第5/6腰椎椎弓切除し露出した脊髄硬膜上へ移植した。術後、4〜24週経過した後、同部位を摘出し病理組織学的に検討した。術後4週経過後の骨膜の組織像は、線維性骨組織がありそれを取り囲むように間葉系原始細胞が認められ膜性骨化が生じた。その骨化は脊柱筋、椎弓、黄色靭帯へと波及していた。しかし、この骨化は脊椎硬膜までには及ばず、硬膜の間には軟部組織(瘢痕組織)が生じていた。次に術後24週経過後の骨膜の組織像では、軟骨細胞が増殖し肥大化、空胞化して骨形成像を認めた。この軟骨細胞を中心とした骨組織像は周囲組織(脊柱筋、椎弓、黄色靭帯)へと波及していたが、この骨化も脊髄硬膜までには及ばず、硬膜は正常構造を保っていた。現在までのところ、骨膜の骨形成能を用いて硬膜の骨化を試みたが骨化は硬膜に及んではいなかった。骨膜自体には軟骨性骨化・膜性骨化の両方の骨化形態が認められているため骨化の勢いが弱いとは考えられない。硬膜の骨化の機序として考えられるのは、1)硬膜内に存在する未分化間葉系細胞が何らかの刺激を受け増殖・分化・変性して骨芽細胞が生じる、2)硬膜の周囲から骨形成能を持った隣接組織が波及してきて硬膜も一塊となって骨化していく、の2点である。今後もさらに強い骨形成能を硬膜に与えるためには、骨膜の総量を増やす、直接硬膜に密着させかつ圧迫を強く加える、高齢の家兎を用いるなどが骨化を容易にさせる要因と考えられる。また同時に、硬膜の持つ骨化の防御因子が存在すればそれを追求していく。
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