研究課題/領域番号 |
08671703
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
永田 見生 久留米大学, 医学部, 助教授 (50140687)
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研究分担者 |
井本 浩樹 久留米大学, 医学部, 助手 (20289466)
薗田 恭輔 久留米大学, 医学部, 助手 (00289464)
有吉 護 久留米大学, 医学部, 講師 (50184297)
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キーワード | 脊髄硬膜 / 骨膜 / 骨化形態 / 骨化防御因子 |
研究概要 |
脊髄硬膜は外部から脊髄を保護する重要な役割があるが、それ自体に骨化が起こり脊髄障害を来たらすという報告がこれまでいくつかされてきた。しかし、硬膜骨化の機序については未だに不明である。我々は、正常な脊髄硬膜上に自家骨膜を移植し、外部から骨形成能を作用させることにより、硬膜に新しく骨化機転が見られるか否かについて研究を行った。実験は、家兎20羽を用いて行なった。ケタラール全身麻酔下で、前腕骨より骨膜を摘出した。第5/6腰椎を椎弓切除し脊髄硬膜を露出し、そこへ採取した自家骨膜を移植して背側より筋層・皮下を縫合した。移植して4週経過後に屠殺して第4-7腰椎までを一塊として摘出し、20%ホルマリンで固定、EDTA脱灰後、横断標本を作成し、H-E染色とサフラニン-0染色にて病理組織学的所見を調査した。移植した骨膜自体は全例新生骨の形成を認めた。しかし、脊髄硬膜に何らかの変化を認めたのは11例55%で、脊髄硬膜に変化を認めなかったのは9例で全体の45%であった。変化を認めた硬膜は11例全部に変性を認め、腫脹・菲薄化・分離化とその形態は様々であった。また、新生骨と硬膜との関係を組織像で見ると、1)硬膜外から脂肪組織が新生骨と硬膜の間へと介入し、新生骨の硬膜への浸潤を防御している組織像、2)硬膜周囲組織が間質性の浮腫性変化を起こし、骨膜の骨化機転が硬膜に及んでいない組織像がみられた。脊髄を保護する硬膜に対して、外からの刺激が加わり骨化機転の作用を起こしても、それを防ぐ防御機構が働いており、自家骨膜のもつ骨形成能では脊髄硬膜は骨化しないことがわかった。その骨化を防ぐ防御機構とは組織像から推察すると、硬膜外からの脂肪組織の介入、硬膜周囲組織の間質性の浮腫性変化と形態は様々であった。しかし、硬膜の骨化を防御する特定の防御因子はまだ解明されていない。
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