不動化した脛骨における骨動態の変化及び骨髄細胞の分化異常に対するヒト副甲状腺ホルモン(以下PTH)間欠投与の効果を明かにする目的で研究をおこなった。 「実験1」(組織形態計測):不動化後の骨動態に対するPTHの効果を明らかにした。8週齢、雄DDYマウスを用い、右後肢坐骨神経を切除し、骨不動化モデルを作製した(Nx)。左後肢は神経同定のみのSham手術とした。PTH投与量は、0(溶媒のみ)、4、40μg/kgBWを設定し、週5回皮下注射した。処置後0、2、4、6週に屠殺し、脛骨近位骨幹端部での骨形態計測を行った。 海綿骨量は、不動化後2週以降で低下した。PTHは、その骨量減少を用量依存的に増加させた。高用量は、スタート時と同レベルを維持していた。骨形成率は、Nx後2週で大きく低下し、6週でもとのレベルに回復した。PTH投与は、その低下した骨形成率を処置後2、4週において用量依存性に増加させた。 「実験2」(骨髄細胞培養):不動化後の骨髄における分化異常に対するPTHの効果を明らかにした。不動化後2、4週で、osteogenicnoduleの形成は低下した。PTH投与は、その低下を用量依存性に増加させた。不動化した骨髄から形成される破骨細胞数は、Nx後2週で一過性に増加した。この増加は、PTH投与で低下した。処置後4、6週のNx、Shamの両側において、PTH高用量は破骨細胞の形成を有意に抑制していた。CFU-f(colony forming unit-fibroblastic)数は、処置後2週の時点においてのみ、PTH高用量で増加した。処置後2週の時点で、PTH高用量は、Nxによる低下したAlkaline phosphatase活性をShamレベルまで上昇させた。 以上のことから、本研究は、神経切除による不動化がもたらした骨量減少に対して、PTH間欠投与は、骨形成を促進し、骨吸収を抑制することによって、予防的に作用することを明らかにした。
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