今年度は成体よりの心筋細胞における吸入麻酔薬が筋小胞体に与える影響を検討した。当初マウスより心筋細胞を分離する計画であったが、手技上に問題があり、ウサギ心筋細胞を使用した。心筋細胞の筋小胞体機能に与える影響は、カルシウム感受性蛍光色素を用いて、心筋細胞内カルシウム濃度の変化から検討した。カルシウム感受性蛍光色素Indo-1を心筋細胞に負荷したのち、細胞内カルシウム濃度の変化を細胞内イオン測定装置(現有、CAF-110、日本分光)で測定した。筋小胞体のカルシウム再取り込み能は、収縮後のカルシウムの細胞内濃度の減少の程度から検討した。心筋細胞収縮力の変化は平成8年度購入のデュアルエッジディテクタ(クリスタル・バイオテック社、MyoCyte)を用い測定した。吸入麻酔薬は心筋収縮力を低下させた。吸入麻酔薬は筋小胞体機能のカルシウム再取り込み能には有意な影響を与えなかった。吸入麻酔薬の心抑制作用には筋小胞体機能の抑制はあまり関与していない示唆される。
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