同意が得られた予定手術患者で観血的動脈圧測定が必要と判断された症例を研究対象にした。 1.ACE遺伝子多型(II型、ID型、DD型)の測定 麻酔前に採血された静脈血5mlからDNAを調製し4℃保存する。遺伝子増幅法(PCR)により得られたACE遺伝子を電気泳動させ、紫外線下にPCR産物の泳動パターンをポラロイドで撮像した。ACE遺伝子は490bp(II型)、490および190bp(ID型)、190bp(DD型)の3種類に分類した。 2.心拍、血圧変動測定 心拍変動はR液検出装置を介して心電図PR間隔を1msecの精度で測定し約5分間記録する。de Boerの方法により瞬時心拍数に換算し、250msec毎に心拍数を求める。128秒間毎に高速フーリエ変換してパワースペクトルを求め、0.04〜0.15HzまでをLF成分、0.15〜0.4HzまでをHF成分とする。血圧変動は、麻酔前はトノメトリ法による血圧信号を、麻酔後は動脈穿刺による動脈圧信号を、AD変換ボードにて250msec毎に平均動脈圧を求める。周波数解析の信号処理は心拍変動と同様にする。これらの信号処理はすべて今回新たに作成したプログラムにておこなった。 この結果、(1)ACE遺伝子は手術患者の約15%でみられたが、術中、術後の合併症の発生との相関については対象症例数がまだ少数であり、現在検討中である。(2)心拍、血圧変動は今回作成したAD変換によるRR間隔測定法は、ノイズ存在下でも、きわめて正確に測定し得た。
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