研究概要 |
肝切除術中に使用される吸入麻酔薬が術後の肝再生に及ぼす影響を実験的に調べるため、ラットを用い吸入麻酔薬投与下で肝切除術を行った。研究実施計画では、本年度中に、ハロセン・イソフルレン・セボフルレンの各吸入麻酔薬が正常肝ラットにおける肝切除後の残存肝でのc-myc,c-fos,c-jun各遺伝子のmRNA発現の亢進に対し、どの様に影響するかを調べる予定であったが、研究の遅れにより、ハロセンのみの研究にとどまっている。その結果は予想に反して、ハロセンの吸入濃度・吸入時間に比例した各遺伝子のmRNA発現の亢進の抑制は確認されていない。その原因としては、残存肝の各遺伝子のmRNAの発現量をノザンプロッティングで解析する際に、 1,分子生物学的実験手技の習熟度が不足しているために、安定した結果が得られない。 2,PCR装置で増幅して作製した各遺伝子のcDNAをジゴキシンラベルし、プローベとして用いる各遺伝子の発現の定性・定量を行っているが、作成したcDNAの信頼度の検定を行っていないため、実験毎に結果にばらつきが生じている可能性がある。 以上2点の分子生物学的解析に問題があると考える。 平成9年度は、実験手技の向上・結果の信頼性向上・研究時間短縮のために、市販のプローベを使用し、より多数の実験を行い当初の計画どうりの研究を遂行したい。
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