研究概要 |
Sprague-Dwaley系雄ラットを対象として、ハロセン麻酔下に胸椎・腰椎境界部から硬膜外腔にカテーテルを留置した。モルヒネ、フェンタニール、ブピバカイン、ケタミンのいずれかまたはこれら薬剤の混合液を総容量40μlとしてカテーテルから硬膜外投与した。体性痛に対する疼痛閾値の測定にはtail flick試験を、内臓痛に対する疼痛閾値の測定にはcolorectal distension試験を用いて行った。疼痛閾値の測定は薬液の硬膜外腔投与前、投与後5,10,20,30,40,50,60,90,120,180分の時点で行い、それぞれの薬剤の体性鎮痛効果と内臓性鎮痛効果の経時的変化を比較した。低用量のモルヒネ硬膜外投与では、内臓性痛に対する鎮痛効果は体性痛に対する鎮痛効果に比較して大きく、効果持続時間も長かった。フェンタニールの硬膜外投与では体性鎮痛効果と内臓性鎮痛効果はほとんど同様の経時的変化を示した。リドカインまたはブピバカインの硬膜外投与においては体性鎮痛効果よりも内臓性鎮痛効果のほうが優れていた。ケタミンの鎮痛効果は内臓痛に対して強く、とくに低用量でこの傾向がみとめられた。リドカインまたはブピバカインをモルヒネまたはフェンタニールと混合して投与した場合、単独投与の体性鎮痛効果および内臓性鎮痛効果を有意に増強させた。この増強作用は鎮痛効果持続時間の延長としてもみとめられた。
|