研究概要 |
ラット気管切片と|^3H|ミオイノシトールを37℃でインキユベイトし、30分後に様々な濃度のKチャンネル開口薬を投与した。さらに15分後に0.55μMのカルバコールまたは2.5μMのノルエピネフリンを投与して60分間インキュベイトし、PIの代謝産物の|^3H|イノシトール1リン酸(|^3H|IP_1)をカラムクロマトグラフィーで分離し、それを液体シンチレーションカウンターで測定した。 0.55μMのカルバコール投与によってIP_1産生は2.02±0.26Bqから4.72±0.12Bqに有意に増加し、さらにKチャネル開口薬のクロマカリム10μM、100μMでそれぞれ6.66±0.41Bq,6.63±0.35Bqに有意に増加した。Kチャネル開口薬のクロマカリムはノルエピネフリン誘発性IP_1産生に影響がなかった。新しいKチャネル開口薬のJTV506,Y-26763はカルバコール誘発性IP_1産生に影響がなかった。 Kチャネル開口薬は気管支平滑筋の強い弛緩作用を有していることから、電位依存性Caチャンネルのみを抑制しているのではなく、受容体作動性Caチャンネルと関連のあるPIレスポンスも抑制するかもしれないと考えていたが、実際の結果は逆または影響がなかった。Kチャネル開口薬のクロマカリムはKチャネルが開口することによってCaチャネルが閉じ、Caイオンの流入を抑制し、カルバコール誘発性の気管収縮を弱めるが、一方では、ムスカリン受容体を介したPIレスポンスを刺激することが示唆された。新しいKチャネル開口薬のJTV506,Y-26763はPIレスポンスに影響がなかった。
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