研究概要 |
重症呼吸不全に対するプロスタグランジン(PG)吸入療法の確立を目的として以下の方法で研究を行った。研究には主に家兎を用いた。動物を麻酔下に挿管し人工呼吸を行った。鼡径部に動脈ラインを確保し動脈圧測定と採血のために用いた。内径静脈にシースを挿入しスワンガンツカテーテルを挿入した。サーボベンチレーターのジェットネブライザーを生理食塩水で開始した。種々のデータを取った後、吸入酸素濃度を100%から11%まで下げ、低酸素性肺血管れん縮を起こし、肺高血圧症を惹起した。その後、30ppmの一酸化窒素(NO)の吸入を行い、肺動脈圧が低下することを確認した。次にPG-I_2,PG-E_1の吸入を行った。ある一定濃度でのPGの吸入で、NOの吸入と同程度に肺動脈圧を低下させる傾向がPG-I_2,PG-E_1の両方で確かめられた。0.5%tween80を用いた肺洗浄による肺障害モデルでは酸素化を改善する傾向と肺高血圧の改善傾向が現在のところPG-I_1で認められた。PG-E_1の実験は計画中である。以上より、動物実験段階でPG-I_2吸入療法の重症呼吸不全、肺高血圧症への有効性と、まだほとんど報告されていないPG-E_1の吸入療法の有効性の可能性が確かめられた。今後成人呼吸窮迫症候群などの臨床への応用が期待される。
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