研究概要 |
脳虚血-再灌流時の脳障害の発生機序として考えられているフリーラジカル(活性酸素、niktric oxide)の発生増加と興奮性神経伝達物質(glutamate)の遊離を脳血流量の変化と共にin vivoでreal timeに測定し、これらに対する高気圧酸素(再酸素化)の影響をラットで検討することを目的とし、 1.平成8年度の目的は、1)ラット前脳虚血-再灌流モデルで、マイクロダイアレシスバイオセンサーシステムにより興奮性神経伝達物質であるglutamateの遊離をin vivo,in situで脳血流量と共にreal timeに測定、 2)ラット脳in vivoでの活性酸素の発生をH_2O_2発生を指標として、マイクロダイアレシスバイオセンサーシステムのマイクロダイアリシスブローブ内部に設置されたPt作用電極でH_2O_2発生を測定する方法を検討し、ラット前脳虚血-再灌流モデルでのH_2O_2発生を脳血流量と共に測定する、を検討課題とした。 2.結果は、1)脳血流量は血圧と共に再灌流後一過性に上昇し、各々再灌流後15分、25分で虚血前値になり、 2)H_2O_2は平均で虚血中虚血前値(32μM)より一過性に上昇(54μM)後減少するが、再灌流後急上昇し、薬10分後にmax(105μM)となり、その後は徐々に減少し、再灌流後40分には虚血前値となった。 3)同時に測定し得たGlutamate(n=7)は虚血中虚血前血(2.1μM)より上昇を続け、再灌流直後にmax(6.1μM)となり5分後には2.6μMと急減し、30分後には前値まで減少した。 以上より,Glutamateは虚血中急増するが再潅流によりCBFの急増と共に急激に減少するのに対し、H_2O_2は再潅流後著明に上昇し、農障害の原因となりうると考えられた。
|