研究概要 |
脳虚血-再灌流時の脳障害の発生機序として考えられているフリーラジカル(活性酸素、nitric oxide)の発生増加と興奮性神経伝達物質(glutamate)の遊離を脳血流量の変化と共にin vivoでreal timeに測定し、これらに対する高気圧酸素(再酸素化)の影響をラットで検討することを目的とし、 1.平成9年度の目的は、(1)ラット前脳虚血-再灌流モデルで、マイクロダイアレシスバイオセンサーシステムにより興奮性神経伝達物質であるglutamateの遊離を線条体でin vivo,in situで脳血流量、血圧と共にreal timeに測定し同時に、(2)ラット脳in vivo,でのnitric oxide(NO)発生をNO_2/NO_3の変動を指標として線条体で測定する方法を検討し、ラット前脳虚血-再灌流モデルでのNO発生を検討課題とした。 2.結果は、(1)脳血流量(n=12)は血圧と共に再潅流後一過性に上昇し(各々194%、125%)、各々再潅流後15分、25分で虚血前値になり、60分後には減少(各々53%,87%)した。 (2)同時に測定し得たGlutamate(n=9)は虚血中虚血前値(25μM)より上昇を続け、再潅流直後にmax(107μM)となり5分後には41μMと急減し、30分後には前値まで減少した。 (3)NOとしてNO_3は虚血中及び再灌流40分後に各々50%、80%減少したのに対し、NO_2は虚血中及び再灌流30-50分後に各々591%、880-910%に増加した。 以上より、Glutamateは虚血中急増するが再潅流によりCBFの急増と共に急激に減少するのに対し、NOの発生は虚血中のみでなく、再潅流によっても増加すると考えられた。 高気圧酸素のNO発生に及ぼす影響を見るため、indusible NOが増加するendotoxin投与と出血生shockモデルで高気圧酸素による血清中のNO_2/NO_3への影響を検討したが、高気圧酸素による抑制効果はなかった。
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