研究概要 |
脳虚血-再灌流時の脳障害の発生機序として考えられているフリーラジカル(活性酸素、nitric oxide)の発生増加と興奮性神経伝達物質(glutamate)の遊離を脳血流量の変化と共にin vivoでreal timeに測定し、これらに対する高気圧酸素(再酸素化)の影響をラットで検討すること,を目的とした。 1. 平成10年度の目的は、nitrite/nitrateの変動を指標としてラット脳in vivoでのnitric oxide(NO)の発生への高気圧酸素(再酸素化)の影響を検討することを目的としたが、microdialysisにより高気圧環境下でdialysateを収集することが困難であったため、 (1)indusibleNOが増加する出血生shock model(MAP=40mmHg,30min)で高気圧酸素による血清中のNO発生に及ぼす影響を検討した。更に(2)oxidative stressを反映すると考えられるantioxidantの変化としてascorbateの脳虚血-再灌流時の変化をin vivoでreal timeに測定することを検討課題とした。 2. 結果:(1)対照群ではMAPが経時的に低下し4hr前後で死亡したのに対し、HBO(3ATA、60min)後では4hr迄はMAPは維持され、その後は経時的に低下したが6hr以上生存した。この時、nitrite/nitrateの変化はショック後4hr値で対照群は2.2/72.9、HBO群は4.08/110.0pmol/μlでHBO群では死亡時迄継続して増加した.従ってHBOはindusibleNOの発生増加を抑制しなと考えられた。(2)Ascorbateのin vivo、real timeの測定はmicrodialysis biosensor内のPt作用電極のoxidationsignalとcoating及びascorbate oxidaseを潅流したbiosensor signalとの比較で行った。その結果虚血後の再潅流時にascorbateがbaseline79.0-μMより223.2μM迄上昇し、oxidative stressに対する変化と考えられた。
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