以下のことが判明した。 1.Ltype Ca^<2+>拮抗薬(Verapamil、Diltiazem、Nicardipine)およびN-type Ca^<2+>拮抗薬ω-contooxin GIVAは麻薬性鎮痛薬モルヒネの鎮痛効果を増強することが認めれた。このことは。妊娠に伴い誘導されるエンドルフィンなどの内因性鎮痛物質よる鎮痛機序に対して、Ca^<2+>拮抗薬は鎮痛作用増強に作用する可能性があることを強く示唆するものである。 2.局所麻酔薬リドカインおよびプロカインの末梢神経における局所麻酔薬をCa^<2+>拮抗薬が用量依存性に増強することが判明した。このことは、帝王切開手術などの麻酔において、Ca^<2+>拮抗薬が局所麻酔薬効果を増強する可能性がある。 3.コリン作動薬カルバコールの皮下およびくも膜下投与はフォルマリン皮下投与や坐骨神経結紮による侵害刺激に対して、抗侵害作用をもたらした。 これまでの研究の結果を妊娠ラットにて確認する必要があるとともに、この機序を解明するために脊髄後角におけるglycineやGABAなどの抑制性アミノ酸およびモノアミン類の変動、および脊髄後角細胞内カルシウムイオン濃度の変化、さらにくも膜下に投与された種々の薬物の脊髄に対する組織学的影響の検討などの解明すべき点が多く残されており、研究を継続中である。
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