研究課題/領域番号 |
08671812
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
筧 善行 京都大学, 医学研究科, 講師 (20214273)
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研究分担者 |
奥野 博 京都大学, 医学研究科, 助手 (90263079)
岡田 裕作 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20127062)
吉田 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (70025584)
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キーワード | 排尿反射 / 膀胱知覚路 / 膀胱運動路 / イオンチャネル / 可塑性 |
研究概要 |
(1)雌性成熟ラットを用いて、Th8-9脊髄間を切断し脊髄損傷運動を作成した。手術後3週間を経過した時点で、膀胱壁内に蛍光色素(ファストブルー)を注入し、膀胱を支配する後根神経節内の一次求心性神経細胞ならびに骨盤神経節内の遠心神経細胞を逆行性軸索輸送によって標識した。 (2)雌性成熟ラットを用いて、麻酔下に尿道を露出し、不完全結紮による尿道部分狭窄を作成した。手術後4週間を経過した時点で、膀胱壁内に色素を注入し、膀胱由来の一次求心性細胞ならびに遠心性細胞を標識した。 (3)脊髄損傷および尿道狭窄ラットを用いて、麻酔下にL6-S1後根神経節を切除し、酸素液を用いて単一細胞に分離したのち、短期細胞培養を行った。これらの手法により、蛍光顕微鏡下に膀胱由来の知覚細胞ならびの自律神経細胞を特異的に識別することが可能となった(文献1、2)。 (4)微小ガラス管電極を用いたホールセルパッチクランプ法によって単離細胞の電気的活動を記録した。膀胱由来の知覚神経細胞および自律神経細胞において、ナトリウム電流はテトロドトキシン(TTX)感受性及び非感受性の2種類の電流に分類され、そのうちTTX非感受性電流は知覚神経の7割を占める無髄C細胞に特異的に発現していた。また、これらの細胞では、A-タイプのカリウム電流が細胞の興奮性を制御していることが明らかとなった(文献1、2)。そして、脊髄損傷動物では、細胞肥大とともに、膀胱知覚神経の電気的興奮性の増大を認め、TTX感受性のナトリウム電流の増大とA-タイプカリウム電流の減少がその原因となっており、脊髄損傷後に起こる排尿反射亢進の発生に関与していると考えられた。また、尿道狭窄動物において、TTX感受性ナトリウム電流の増大を認め、前立腺肥大による尿道閉塞時に見られる排尿反射亢進の一因となっているとが明らかとなった(文献3-5)。
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