研究課題/領域番号 |
08671813
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥野 博 京都大学, 医学研究科, 助手 (90263079)
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研究分担者 |
水谷 陽一 京都大学, 医学研究科, 助手 (10243031)
筧 善行 京都大学, 医学研究科, 講師 (20214273)
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キーワード | 尿路上皮癌 / 尿中剥離細胞 / 細胞培養 / 多中心性発生 / 尿路腔内播種 / p53 / アクリジンオレンジ |
研究概要 |
尿路上皮癌の大きな特徴である同時性・異時性多中心性発生の機序として、我々はp53遺伝子解析より、単クローン性の腔内播種が主因となっていることを報告してきた。そこでさらに尿路上皮癌細胞の腔内播種のメカニズムの解析を目的として患者尿中剥離細胞の短期培養系による研究を行った。またこの系を用いた非侵襲的な分子生物学的診断法の開発および臨床応用への可能性について検討した。 尿路上皮癌患者の尿中剥離細胞は健常人の尿中剥離細胞より高い初期細胞生着率および細胞増殖能を有し、中でも上部尿路腫瘍患者およびp53陽性患者ではその現象が著明であった。また表在性膀胱腫瘍患者のうち、高い細胞増殖能を有した患者はそうでなかった患者に比べ有意に高頻度に膀胱腔内の腫瘍再発を認め、尿中剥離細胞の細胞増殖能は尿路腔内腫瘍再発と密接な関係があることが示唆された(J.Urol.に掲載)。また細胞継代が可能であった尿路上皮癌患者においてその培養細胞のp53核内異常集積を検討した。38例中18例(47.4%)の培養細胞中に10%以上のp53核染色陽性細胞を認め、うち17例は腫瘍のp53核染色も陽性であった。一方培養細胞中に10%以上のp53核染色陽性細胞を認めなかった症例では腫瘍のp53核染色も20例中18例陰性であり、この系を用いたp53免疫細胞染色の結果は非常に良く腫瘍のp53免疫組織染色結果と一致した(Jpn.J.Cancer Res.に掲載)。また培養細胞のアクリジンオレンジ染色では少数例ではあるが有腫瘍患者の尿からは赤色に異染する、つまり癌細胞を多く認めたが、健常人の尿からは赤色に異染する細胞は認めず、黄緑色に螢光する正染細胞のみを認めた(腎泌予防医誌に掲載)。以上より、この系を用いた非侵襲的な分子生物学的診断の臨床応用への可能性が示唆された。
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