(目的)ヒト前立腺癌細胞株PC-3を対象としてbasic fibroblast growth factor(bFGF)およびvascular endothelial growth factor(VEGF)の発現を観察するとともに、bFGF中和抗体による細胞増殖活性の抑制効果について評価することである。 (方法)PC-3細胞を48時間無血清培養後、血清を添加し、経時的にRNAを単離した。RNAはacid guanidinium-phenol-chloroform(AGPC)法により抽出し、formaldehyde/agarose gelに泳動した後、nylon膜に転写し、^<32>Pで標識したbFGFのprobeとhybridizationを行った。得られたautoradiographからbFGFの発現をdensitometryで定量評価した。VEGFの発現については抗VEGF抗体を用いた免疫染色により観察した。bFGFの中和抗体の細胞増殖抑制効果ははPC-3を24穴wellで24時間培養した後、bFGF中和抗体を0μg/ml-50μg/mlの濃度で各wellに添加し、^3H-thymidineの摂取率により測定した。 (結果)Northern blotの結果、血清の添加とともにPC-3細胞のbFGFのmRNAレベルが上昇した。免疫染色では細胞質および細胞膜にVEGFの局在が認められたが、血清の添加によるVEGFの染色性に変化はみられなかった。PC-3細胞の増殖に対するbFGFの影響をみると、bFGF中和抗体の添加量が増すとともにPC-3細胞の^3H-thymidineの取り込みが低下した。
|