研究概要 |
これまでの研究で、ヒト前立腺癌細胞株PC-3を対象としてbasic fibroblast growth factor(bFGF),vascular endorhelial growth factor(VEGF)の発現を観察し、northern blotでは細胞増殖刺激によりbFGFの発現が上昇すること、bFGFの中和抗体の添加で細胞増殖能が低下することを確認した。一方、VEGFの染色性には増殖刺激による変化はみられなかった。今年度は前立腺癌症例を対象として経直腸的超音波検査施行時にcolor dopplerを行い、血流と癌の異型度、浸潤度との関係を評価し、さらに前立腺全摘標本について免疫組織学的に血管新生、増殖能を観察した。 Color dopplerの結果、血流の豊富な腫瘍では異型度が高く、浸潤度も高い傾向がみられた。また血流の程度と免疫組織学的に観察した血管の密度が関連し、血流が多い癌組織では血管密度が高値を示した。さらに細胞増殖能が高い癌ではcolor dopplerで観察された血流が亢進し、免疫組織学的に観察した血管密度も高い結果が得られた。 今後、前立腺全摘標本を対象として、癌組織と正常部についてbFGFおよびVEGFの発現量を測定して、color dopplerの結果、免疫組織学的に評価した細胞増殖能と血管密度との関係を観察するとともに、全摘標本で細胞増殖能、血管密度をmappingして前立腺癌の構築との関連について検討する。
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