研究課題/領域番号 |
08671829
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
矢尾 正祐 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00260787)
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研究分担者 |
穂坂 正彦 横浜市立大学, 医学部, 教授 (30106330)
窪田 吉信 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (10106312)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | VHL遺伝子 / 腎細胞癌 / 癌抑制遺伝子 / 遺伝子変異 / mutation |
研究概要 |
(1)散発例の腎細胞癌におけるVHL遺伝子の体細胞変異の特徴を明らかにする為に232例について遺伝子の異常を調べた。その結果104例に変異を確認した。遺伝子変異型ではC末側が切断されるような変異が約3/4を占めていた。腎癌組織型と遺伝子変異との関係では、Thoenes分類による淡明細胞型腎癌にのみ遺伝子変異が認められその頻度は56%であった。また腫瘍のgrade、stageとの関係は見られず、よって淡明細胞腎癌の腫瘍化の初期の段階でこの遺伝子の不活性化が起きていると考えられた。(2)本邦のVHL患者家系における遺伝的変異の特徴を明らかにする為に、合計77家系についてその変異を調べた。その結果73%(55/77)の家系で変異を確認した。遺伝子変異型と発症病変との関係で、腎細胞癌がミスセンス変異よりもノンミスセンス変異家系に優位に発症していることを見出した。散発例腎癌でもノンミスセンス変異が多く見つかることを考え合わせると、これらノンミスセンス変異によるVHL蛋白の完全な機能消失が淡明細胞腎癌の発生の引き金になっていることが示唆された。(3)ヒト正常組織におけるVHL遺伝子のmRNAの発現の有無をin situ hybridizationにより調べた。その結果、腎の近位尿細管細胞でこの遺伝子の発現が強いことを明らかにした。正常の腎組織において、よって正常VHL遺伝子は近位尿細管細胞で何らかの機能を持つが、この機能が阻害されると腫瘍化が起こることが示唆された。(4)散発例のグリオーマー部でもVHL遺伝子の関与を見出した。散発例腎癌で遺伝子不安定を検討したが、不安定はほとんど検出できず、腎癌の腫瘍化にはこの機構はあまり重要ではないかと考えられた。
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