研究概要 |
ヒトTR3オ-ファンレセプターはステロイドレセプターのひとつであり、ヒト前立腺癌細胞において細胞増殖や細胞死(アポトーシス)を誘発する各種刺激を加えた直後にmRNAの発現が認められる。今回、我々はその発現とantisense TR3がアポトーシスを抑制することを証明し、発表した(Endorinology,1998,in press)。 また、ヒト前立腺癌組織でヒトTR3オ-ファンレセプターをプローブとしてin situ hybiridizationを施行したところ、正常組織や前立腺肥大症組織に比べて前立腺癌組織で強く園シグナルが見られた。(ヒトTR3オ-ファンレセプターのmRNAの発現は、前立腺上皮細胞に見られ、癌組織だけでなく正常あるいは前立腺肥大症組織でも弱く見られた。)また、組織異型度別にみると悪性度が高くなるほど、つまり高分化型から低分化型になるにしたがってヒトTR3オ-ファンレセプターのmRNAの発現が強く認められた。さらに、RT-PCR法を行いmRNAの発現を定量したところ、正常や前立腺肥大組織に比べ前立腺癌組織で有意にそのシグナルが高くみられた。 現在、他臓器癌に抑制作用があると言われているレチノイン酸(all-trans retinoic acid:ATRA)を使って、前立腺癌細胞を刺激しヒトTR3オ-ファンレセプターのmRNAの発現や他のオ-ファンレセプターとの相互作用について分子生物学的に解明中である。
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