研究課題/領域番号 |
08671833
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岸本 武利 大阪市立大学, 医学部, 教授 (00047078)
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研究分担者 |
和田 誠次 大阪市立大学, 医学部, 講師 (20158695)
杉村 一誠 大阪市立大学, 医学部, 講師 (90187659)
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キーワード | 遺伝子導入 / 膀胱癌 / HVJリポソーム / インターフェロン・ガンマ |
研究概要 |
【目的】昨年度は膀胱へのin vivoでの遺伝子導入法を検討したが、このうちのHVJ(センダイ・ウイルス)リポソーム法を用いて本年度は膀胱癌モデルに対し治療を試みた。 癌に対する免疫遺伝子治療、とくに腫瘍細胞にサイトカインなどの遺伝子を導入しワクチンとして用いる腫瘍ワクチン療法は、腫瘍とサイトカインの種類の組み合わせが検討され、そのいくつかは有効な治療手段となりうる可能性が示されている。膀胱腫瘍についても細胞株を用いた系でインターフェロンγ(INF-γ)の有効性が示されている。そこでラットのBBN誘発膀胱癌モデルに対し、HVJ-リポソーム法を用いてINF-γ遺伝子を導入し、その抗腫瘍効果を検討した。 【方法】雄性SDラットで0.1%BBMの飲水によって膀胱癌を誘発した。BBN投与開始1週後より、2週間ごとにHVJリポソームによりINF-γ遺伝子を膀胱上皮に導入した。HVJ-リポソームは昨年度に報告したように、金田らの方法によって作製し、ラット膀胱へは麻酔下で下腹部を切開し直視下で穿刺注入した。コントロール群ではDNAを含まない空のHVJ-リポソームを注入した。BBNの投与は10週間、HVJ-リポソーム注入は4-6カ月続け、その後に屠殺し抗腫瘍効果について検討した。 【結果および考察】INF-γ遺伝子導入群とコントロール群とを比較して、膀胱重量、腫瘍数について検討したが、いずれも有意差は認められなかった。また、組織学的にも明らかな差は認められなかった。一方、HVJ-リポソームの注入によると思われる膀胱結石の発生を高頻度で認めた。結石による影響や注入による尿路感染によって発癌のプロモーションが促進され、INF-γの効果が打ち消された可能性も考えられる。
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