新たに樹立した膀胱癌細胞株(JMSU1)をlimiting dilutionによるクローニングにて、いくつかのクローンを単離し、膀胱癌クローンを樹立した。それらクローンの性状解析として以下の点を検討した。in vitroでの倍加時間を色素排除法による細胞数カウントにて評価した。クローン毎で倍加時間は様々であった。in vitroでの細胞形態の観察では紡錘形から矩形と多様な形態を呈した。造腫瘍性に関しては、ヌードマウスあるいはSCIDにクローンを皮下移植し、造腫瘍性を観察するとともに、得られた腫瘍の組織学的検索を行った。クローン毎で造腫瘍性は異なり、SCIDのみで造腫瘍性が確認されたクローンもあった。H&E染色では何れのクローンも親株と同様にGrade3移行上皮癌の組織像を呈していた。粘液染色や免疫組織染色(サイトケラチン、ビメンチン)ではクローン毎に明らかな差異を見出せなかった。これらクローンのindividualityの検討のために、Fingerprint解析を行ったところ、すべてのクローンは親株と同一のパターンを示し、contaminationのないことを確認した。以上より、われわれの樹立したクローンはJMSU1由来であり、in vitroでの倍加時間や細胞形態、in vivoにおける造腫瘍性において多様性を示すことが確認された。
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