研究課題/領域番号 |
08671842
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
岩村 正嗣 北里大学, 医学部, 助手 (20176564)
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研究分担者 |
内田 豊昭 北里大学, 医学部, 講師 (70146489)
桑尾 定仁 北里大学, 医学部, 助教授 (70137925)
頴川 晋 北里大学, 医学部, 講師 (60160347)
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キーワード | PTHrP / 前立腺癌 / PIN / PSA / 免疫組織染色 / 高カルシウム血症 |
研究概要 |
我々はヒト前立腺癌及びその前癌状態であるprostatic intraepithelial neoplasia(PIN)において副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)が過剰に発現することをPTHrPのC-末端に対する特異抗体を用いて免疫組織学的に見い出し、前立腺癌の早期発見の手段として応用する可能性につき検討してきた。しかしN-末端に対する抗体で再現性が得られず、また前立腺癌患者に高PTHrP血症がもたらす高カルシウム血症の頻度が極めて低いことから前立腺癌細胞の分泌するPTHrPはN-末端の抗原性およびホルモン活性が特異的に欠如している可能性が示唆され、そのメカニズムにつき検討した。その結果、前立腺上皮細胞より分泌されるserin proteaseである前立腺特異抗原(PSA)がPTHrPのアミノ酸鎖22または23番目のフェニルアラニンの後でこれを酵素学的に切断していることを見い出した。精製PTHrP(1-34)のUMR-106骨肉腫細胞対するcAMP産生誘導作用もPSAの存在下で時間および濃度依存性に阻害された。またPTHrPのN-末端の抗原性もPSAにより消失した。これに対しC-末端のアミノ酸鎖、抗原性はPSAの存在下で全く影響を受けなかった。従って前立腺癌組織におけるPTHrPの免疫組織学的研究にはC-末端に対する特異抗体を用いることが適当であり、この結果をふまえて今後の研究を継続する予定である。
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