濾液再生方式による新しい血液浄化システム(Recycle Filration System:RFシステム)の開発及び臨床応用した。 <RFシステムの特徴>(1)透析液からのエンドトキシンの逆汚染が無く(2)溶質除去はハイパフォーマンスメンブレンと同等性能を確保し(3)大量の補液を必要としない等である。特に(3)に特徴がある。 <方法及び対象>RFシステムの血液浄化システムとしての溶質除去性能(尿素窒素:UN、クレアチニン:Cr、尿酸:UA、Na、K、IP、β2ミクログロブリン:β2MG)、及び安全性(症状、パイタルサイン、末梢血液検査、補体の活性など)を従来法である血液濾過法(HF)と比較検討した。対象患者は、維持透析患者(RFシステム:18名、HF:10名)としそれぞれ置換液量は20リットルとした。各群の平均体重に有意差はなかった。 <結果>RFシステムにおける各種溶質除去率は、UN53.3±5.5%、Cr59.3±5.2%、UA62.0±8.1%、IP48.7±6.9、β2MG65.0±6.9%であった。HFにおける各種溶質除去率は、UN50.8±6.8%、Cr53.1±8.3%、UA62.1±9.7%、IP44.3±12.6%、β2MG72.5±7.4%であった。 β2MG以外の小分子量物質の除去性能に関してはRFシステムとHFでは有意差を認めなかった。また、RFシステムにおける各種溶質除去率は濾液再生量依存性に上昇した。他の血液検査においても白血球や血小板の変動や補体の活性など認めず、電解質の補正、アシドーシスの是正もされた。また、患者のバイタルサインも通常の血液透析施行時より安定している患者もおり臨床的副作用も認めなかった。 <まとめ>結果よりRFシステムは十分に臨床応用可能であると考えられた。また、特別な透析液の水質管理を必要としないため、これからの慢性腎不全の治療で広まって行くであろう家庭透析などにも応用可能であると考えられた。また、現在は携帯型人工腎に発展するよう研究を進めている。
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