(1)CGHについて 昨年度に引き続き、病変部(異型嚢胞、adenoma、adenocarcinoma)からのDNA抽出として、Shibataらのselective ultraviolet radiation fraction法を用い、パラフィン包埋標本からの染色体DNA抽出を行った。但し、抽出量が僅少であること、抽出したDNAはフラグメントとしての長さが大半は200bp以下であることから、Teleniusらの提唱したDOP-PCR法で行う場合でも、再現性が問題となった。 そこで今年度は、DOP-PCR法で用いるtemplete DNAとして、パラフィン包埋標本のみでなく、新鮮凍結標本から抽出したものも調製し、各々の再現性や両者間での整合性を検討した。 染色体異常(trisomy)のある陽性コントロールを用いた予備実験では、当初より予想されたことではあるが、新鮮凍結標本由来のDNAの方が、染色体異常の検出度は高く、また再現性も良好であった。今後の方針として、とりあえず新鮮凍結標本から抽出した非腫瘍部DNAと腫瘍部DNAとの間で、CGHを行い、両者間での、大きな差異についてまず検討を進めてゆく必要があろう。 (2)マイクロサテライト解析について CGHによる比較的巨視的な染色体変化と、マイクロサテライト解析による遺伝子変化との比較を行うため、今年度から、CGHと平行して、オートシークエンサーを用いたマイクロサテライト解析を開始し、現在、条件検討を行っている。
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