研究概要 |
腎内微小循環を生理により近い状態でin vivoで観察した報告は,これまで特殊なラットや病的動物モデル(水腎症ラット)でのみ行われこれまでには方法論的制約のため不可能であった。本研究ではニードルレンズ型CCD顕微鏡開発・導入により体液の調節をおこなう糸球体の濾過を決定する輸入・輸出細動脈のin vivoイメージングを行い,アンジオテンシンII(AII)に対するインパルス応答を経時的に解析した。麻酔犬(n=6)を対象に、ニードル型CCD顕微鏡(直径3.5mm,倍率400倍,CCD:510 X492 pixels)を用いて腎微小血管を血圧・腎血流共にビデオに記録し解析した。ニードルプローブの腎微小循環へのアクセスは左腎を露出し,被膜に切開を加えプローブを腎皮質内に到達させた。腎排泄色素(インジゴカルミン20mg)を静注し腎表面の色調変化にて注入薬剤の腎への到達を確認,また同時に腎内微小血管のエンハンスを行った。プローブ先端は血管を圧迫しないように保持し,AII(20μg)を腎門上大動脈よりパルス状に注入し輸入・輸出細動脈イメージの経時的応答を観察した。輸入細動脈(AII前の血管径:14.8±4.5μm),輸出細動脈(AII前の血管径:13.9±4.0μm)共に血管径が減少し,60秒で最小径(輸入径34%減,輸出36%減)を呈した。その後緩やかに血管径が増大しほぼ150秒で旧値に復した。輸入・輸出細動脈は,AII投与直後にsegmentelに拍動振幅の増大した後,diffuseに血管径の減少をみた。なお,AII前・中・後で心拍数の変動はなっかた。AII投与後20秒で平均血圧は最大(増加率:18±4%)となり腎血流は最小(減少率:25±5%)となった。【結語】昇圧量での外因性AIIは共に生体イヌ輸入・輸出細動脈の拍動性を増大させ収縮せしめるが,両者のその程度の差はなかった。
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