研究概要 |
1)C3HとBALB/cのマウスの初期胚から集合胚を形成させ,偽妊娠を誘発した借腹親(ICRマウス)の子宮に集合胚を移植し出産させた集合キメラマウスの作製は順調に行われた. 2)成獣(30-45週齢)のキメラマウスの泌尿生殖臓器および腎臓そして実体顕微鏡を用いて微小解剖された前立腺(腹葉,後側葉,凝固腺)の伸展標本を抗C3H系統特異抗体によりABC法の変法により免疫組織染色を行なったが,腎および精巣はキメラ状態が確認され染色条件も良好と考えられた. 3)腹葉,後側葉,凝固腺,精嚢腺のそれぞれの腺管構造のクローン性を検討したが,成獣(30-45週齢)のキメラマウス20匹において検討したところ,18/20はあきらかな腺管のキメラ構造を認めず,抗C3H系統特異抗体に染色されなかった.2例にはとくに精嚢腺においてキメラ構造を認めたが腺管構造における染色性の評価は切片標本では困難と考えられ,腺管のホールマウントの免疫染色の必要性があると考えられた. いずれにしても,前立腺では明確なキメラ構造を持つ確率が低いようであり,キメラ構造を持つ可能性があるももの,泌尿生殖洞上皮細胞から単クローン性の発育をしている場合が多いことが示唆された.集合させる初期胚の性の検討も必要かと考えられ,今後の課題と考えられた.
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