研究概要 |
実験動物にrecombinant AFPを投与する前段階として、AFPの糖鎖構造と悪性腫瘍、特に子宮体部癌との関係に関し、検討を加えた。臍帯血清および子宮体部肝様腺癌、卵巣卵黄嚢腫瘍、腔卵黄嚢腫瘍患者血清をAFP濃度100ng/mlとなるよう希釈し、コンカナバリンA(Con A),レンズマメレクチン(LCA),赤血球凝集性インゲンマメレクチン(E-PHA),カブトムシ幼虫レクチン(allo A)の4種のレクチンを含むgel plateを用いて電気泳動し、AFPに対するモノクローナル抗体を含むニトロセルロース膜に転写後、westerrn blotの手法により分析した。子宮体部肝様腺癌由来AFPは、lectin affinity electrophoresisにおいて、L2,L3の出現,P1の欠如,Alsの出現,A2の欠如,など特異的なパターンを示した。腔卵黄嚢腫瘍由来AFPは卵巣卵黄嚢腫瘍由来AFPに特徴的と考えられているC1,L2,P5,Alsのすべてのbandを認めたが、L3やP2の出現、A1の欠如等の点で卵巣原発とは異なったパターンを示し、またそれらは臍帯血清や子宮体部肝様腺癌由来のAFPとも異なっていた。lectin affinity electrophresisにより、各種悪性疾患により産生されたAFPは、その糖鎖構造に相異のあることが初めて示された。その結果をふまえ、子宮体部癌同様エストロゲン依存性腫瘍である乳癌において、腫瘍増殖抑制効果を認めたとされるAFP/E2結合産物の、AFPの糖鎖構造に関しても今後検討を加え、子宮体部癌を移植した実験動物に、エストロゲンとともに投与するAFPが、現在我々の作製しているrecombinant AFPそのものでよいのか、宿主の見直しなどが必要であるかを検討する。
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