研究概要 |
本研究の目的は,ヒト染色体のすべてを対象として,子宮体癌・卵巣癌における染色体欠失領域および遺伝子不安定性の原因の1つであるDNAミスマッチ修復異常とDNAレプリケーションエラー(RER)をテストすることにより検索し,婦人科癌における欠失領域の詳細は地図を作製することである.我々はこれまで第10番染色体長腕の925-926領域が子宮体癌.なかでも高分化癌で高頻度に欠失していることを報告し,この領域において子宮体癌の発癌過程において重要な癌抑制遺伝子が存在する可能性を示唆した。すなわちLOHx・・47%(30例中14例)10番長腕認められた. 本年度は56例の子宮体癌患者に由来する癌部と正常組織のDNAを用いてさらに詳細に欠失地図を作製したところD10S209とD10S216の間に約8cM,D10S217とD10S590の間に約12cMの共通欠失領域を認めた。これまでに報告されたマーカーではこれ以上共通欠失領域をせばめられないため、この領域のYACクローンを用いてさらに解析したところ共通欠失領域を約^3Mbに限局させることができた。さらにこの領域をカバーする酵母人工染色体(YAC)クローンからコスミドへのサラクローニングを行ない,新たなマーカーを単離すると共に,コスミドコンティグを作製し,これをもとに共通欠失領域の全塩基配列を検索した。
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