研究概要 |
1)微量サンプル中のエストロゲン受容体mRNA(ERmRNA)の測定法を確立し、その有用度を既に報告した。この測定法を用いてラット骨芽細胞様細胞培養系における各種ホルモン添加のERmRNAの変動を検討した。ERmRNAの発現に対し、有意な効果を示す各ホルモンの最少有効量はE_210^<-9>M、1.25(OH)_2D_310^<-11>M,PTH10^<-12>Mおよびアクチビン10^<-11>MでありPTHが最も鋭敏に作用した。またER蛋白も有意な増加を示し、これらのホルモンが骨芽細胞におけるERmRNAの発現の調節に関与していることを初めて明らかにした。これらの結果は今後ホルモン補充療法を行なう上でその可及的少量のエストロゲンの投与で最大の効果を得るためにはどのような投与法を用いるべきかを検討する上で有用な情報を提供するものと思われる。 2)最近エストロゲン受容体にはα,βの2種類の受容体が存在することが報告された。我々は、ヒトにおけるこれらの2種類の受容体のERmRNAについても特異的な内部標準品を作成し、定量的PCRを用いた測定法を確立した。これまでのところ、末梢白血球におけるER-α,ER-βのmRNAを測定しているが、未閉経女性と閉経後女性では両者の分布に差がある傾向を得ており、さらに症例数を増やして検討している。
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