FGF-2受容体はEGF刺激によりダウンレギュレイションされる。このFGF-2受容体の減少は、急な減少相(30分以内)とその後の緩慢な減少相とからなる2相性であった。しかも、両相ともにプロテインキナーゼC(PKC)が関わっていることがインヒビターを用いた実験から示唆された。そこで、PKC活性化の仕組みを調べた。 1)トリチウムで標識したオレインサンで前処理した顆粒膜細胞をEGF刺激したところジアシルグリセロール(DAG)のピークを2分、15-20分、1時間のところに認めた。 2)EGF刺激でイノシトール3リン酸のピークは2分にところに認めたので、最初のDAGのピークはホスフアチジ-ルイノシトール特異的ホスホリパーゼC(PLC)であることがわかった。 3)1%エタノール処理した細胞をEGF刺激すると、ホスフアチジ-ルエタノールのピークを30分に認めた。D609を用いた実験は結論をだせなかった。したがって、ホスフアチジ-ルコリン特異的PLのCが関与するのかDが関与す明確でなかった。 4)DAGに対応してPKCが活性化されるか検討した。顆粒膜細胞におけるPKCアイソザイムはアルフアが主体なのでアルフアにたいする抗体を用いて細胞質分画から膜分画への移行を調べたところ、2分で移行を認めたがこの移行は5分で有意でなくなった。PKCの基質であるMARCKSを指標にするためにブタ卵巣と顆粒膜細胞における発現をみた。しかし、対照として用いたブタの脳にたいして卵巣での発現を検知できなかった。 以上から、FGF-2受容体のダウンレギュレイションに関わるPKC活性化には、複数のPLが関わることが明らかとなった。
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