卵巣顆粒膜細胞のFGF-2レセプター数はEGF刺激により減少する。この減少は急性期(30分以内)とその後の慢性期とに分けられる。しかも、両期ともprotein kinase Cが関与することがインヒビターを用いた実験から明かとなった。ジアシルグリセロールの形成はEGF刺激後の2分、15-20分、60分の時点に認められた。イノシトール3リンサンの山は2分のところに認めた。1%エタノールの山を30分に認めた。1%エタノール処置をしたあとで細胞をEGFで刺激するとホスフアチジ-ルエタノールの山を30分に認めた。以上から、急性期にはホスフアチジ-ルイノシトール特異的ホスホリパーゼC、慢性期にはホスホリパーゼCまたはDが関わることがわかった。 FGFRの分子生物学的分析を進めるには細胞株の確立が必要不可欠である。SV4OT抗原とAd4BPをマウス顆粒膜細胞に導入して細胞株を作成した。この細胞株はprotein kinase-A情報伝達系の刺激でprogesteroneを大量に分泌する。これまでにない顆粒膜細胞の細胞株と大きく異なるのは、FSHとLHに反応して増殖するとうことである。protein kinase-Aの刺激ではホルモン合成だけでなくvilli形成やgap junction形成などの形態変化をも伴った。severly combined immunodeficiency miceを用いた、移植腫瘍形成実験では、2カ月五に2から5ミリの腫瘍形成を認めた。病理形態はヒト顆粒膜細胞種に酷似していた。
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