本研究の目的は、子宮内膜癌の発癌・進展過程におけるER variantsの生物学的ならびに臨床的意義を明らかにすることである。本研究は3年計画であり、研究の初年度である本年度は、正常子宮内膜ならびに内膜癌におけるER variantsの存在とそのレベルの解析をおこなった。その結果、内膜癌の脱分化に伴うwild type ER mRNAレベルが低下するが、とくに分化度の低いG3癌の中にはER mRNA variantsのレベルの低下が見られないものがあることが判明した。このER mRNA variantsの遺伝子発現の調節機構を検討する目的で、とくに本年はER遺伝子の上流構造につきラットをモデルに研究を開始した。その結果、ER遺伝子に多重非翻訳第一エキソンならびにプロモーター機構が存在していることを明らかにし報告した(文献1、2参照)。また、ヒトのER遺伝子の上流構造についても研究に着手し、ラットと同様に多重非翻訳第一エキソンならびにプロモーター機構が存在していることを明らかにした。現在、子宮内膜癌における多重非翻訳第一エキソンならびにプロモーター機構の詳細について解析を開始したところである。
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