本研究の目的は、子宮内膜癌の発癌・進展過程におけるER variantsの生物学的ならびに臨床的意義を明らかにすることである。すでに、正常子宮内膜ならびに内膜癌におけるER variantsの存在とそのレベルの解析を行った。その結果、内膜癌の脱分化に伴いwild type ER mRNAレベルが低下するが、とくに分化度の低いG3癌の中にはER mRNA variantsのレベルの低下がみられないものがあることが判明した。このER mRNA variantsの遺伝子発現の調節機構を検討する目的で、ER遺伝子の上流構造についてラットおよびサルをモデルに研究を開始している。その結果、ER遺伝子に多重非翻訳第一エキソンならびにプロモーター機構が存在していることを明らかにした(文献1、2)。また、ヒトのER遺伝子の上流構造についても研究に着手し、ラットやサルと同様に多重非翻訳第一エキソンならびにプロモーター機構が存在していることを明らかにした。現在、子宮内膜癌における多重非翻訳第一エキソンならびにプロモーター機構についての詳細な解析を開始したところである。
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