研究概要 |
本研究は、卵巣機能の卵巣内調節機構に関与する2大因子である、性ステロイドとサイトカインの相互作用の解明というテーマの一環として、各成熟段階の卵巣細胞の培養系を用い、その性ステロイド受容体遺伝子の発現におよぼすサイトカインの作用につき、検討を加えることを目的としたものである。サイトカインとして、卵巣における発現やステロイド産生に対する影響があきらかなinterleukin-1(lL-1)・tumor necrosis factor(TNF)α・transforming growth factors(TGF-α,β)・interferonを中心に検討を行った。ブタ卵巣の中卵胞(3-5mm)より採取した顆粒膜細胞は培養系において、LHの添加により、機能的・形態的黄体化およびPRの発現が誘導される。この系にサイトカインを添加し、培養終了後細胞よりRNAを抽出し、PRmRNAの発現量をサイトカイン添加群と非添加群で比較した。またIVF-ETの採卵時に得られるヒト黄体化顆粒膜細胞、ならびに黄体期前期・中期・後期に採取したヒト/ブタ黄体細胞をサイトカインの添加/非添加下で培養し、そのPR発現量を比較検討した。さらにブタの比較的未熟なantral follicle(f<5mm)より採取した顆粒膜細胞を培養し、サイトカイン添加群と非添加群でARの発現量を比較検討する。実験は現在も継続中であるが、preliminaryには、卵巣細胞の成熟度の違いや種差による違いはみとめるものの、サイトカインによりステロイド受容体発現が調節されるという結果が得られている。実験回数を増やして統計的有意差が確認できれば発表の予定である。
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