本研究では、マウス胎盤の初代培養系を用い、サイトカイン、成長因子の発現および生理作用の解明を目的とするが、平成8年度は主にアクチビン、インヒビンの発現調節因子の検索を主に研究をすすめ、1)アクチビン、インヒビンが胎盤および脱落膜において発現する事。2)cAMPがアクチビン、インヒビン発現の重要な調節因子の1つである事を報告した。平成9年度は、本研究のもう1つの目的であるヒトおよびマウスの血清中sIL-6R濃度の生理的変動の解明を進めたが、今だ結論に達していない。近年、人胎盤においてレプチンが産生され、母体-胎児-胎盤系において重要な成長因子の1つとして機能している可能性が示唆されたため、我々はマウス/ラット胎盤におけるレプチン/レプチンレセプターの発現の有無および発現調節機構の解明をすすめ、1)マウスでは、妊娠中に血清中レプチン濃度が非妊時の約20倍上昇するが、胎盤からはレプチンは産生されていない。2)ラットでは、妊娠中に血清中レプチン濃度が非妊時の約2倍しか上昇せず、またマウスと同様に胎盤からはレプチンは産生されていない。3)脂肪細胞から産生されるTNF-αが強力なレプチン分泌の抑制因子である事を報告した。現在、胎盤におけるレプチンレセプターの発現の有無および発現調節機構の解明をすすめている。
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