研究概要 |
(1)オキシトシン受容体遺伝子における点突然変異や欠失などの変異による感受性の低下 ヒトオキシトシン受容体の糖鎖修飾部位に突然変異を加えても、オキシトシンに対する結合能は変化しないことを、ヒトオキシトシン受容体を発現させた細胞系で確認した(Mol.Hum.Reprod)。この結果より、オキシトシンに対する感受性の低下には糖鎖は関係していないことが明らかとなった。また、ヒトオキシトシン受容体に続いてマウスオキシトシン受容体のクローニングを行い、アミノ酸1次構造の比較により、オキシトシンとの結合には第1細胞外ドメインと第2細胞外ドメインが、細胞内におけるG蛋白との結合には第3細胞内ドメインが重要であることがわかった(Mol.Cell,Endocrinol.)。 (2)オキシトシン受容体の発現量の変化 我々は既に子宮筋及び脱落膜におけるオキシトシン受容体mRNAは分娩直前に著増しており、オキシトシン受容体の発現は転写レベルで制御されていることも明らかにしていたが(J.Clin.Invest., Eur.J.Endocrinol., Endocrinol.)、今回の研究で免疫組織染色及びウエスタンプロットを用いることにより蛋白質レベルでも分娩前に増加することを証明した(Endocrinology). (3)オキシトシン受容体遺伝子の転写制御に関与している5′上流域の塩基配列の変異による転写の抑制 マウスオキシトシンレセプターの5′上流領域を決定しヒトの遺伝子と比較検討した。その結果、ヒト遺伝子の5′上流領域の中で-1348番から-1257番までの核酸配列はマウスとラットとの間に高い相同性を示すことが明らかになった(Mol.Cell,Endocrinol.)。この事実はこの領域が本遺伝子の転写制御に重要である事を示唆している。
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