本年度は、CINCmRNAのCDNAを入手しているので、分子生物学的手法を用いて、CINCmRNAの存在の確認及びサイトカインの影響について検討した。TiT/GF細胞から細胞内RNAを抽出し、CINCmRNAcDNAをブロープとして、ノザンブロット分析を行ったところ、1.1kbに特異的なバンドを検出し、TiT/GF細胞においてCINCmRNAの発現を確認した。次にLPS(10ng/ml)でTiT/GF細胞を3時間共培養したのち細胞内RNAを抽出しノザンブロット分析したところ、コントロールに比べ約2倍にその発現が増加した。LPSはTiT/GF細胞において、CINC合成においても促進的に働くことが確かめられた。 最終年度はCINCの下垂体ホルモン分泌作用に関する細胞内情報伝達機構の詳細について検討を加えたい。既にCINCのプロラクチン分泌促進作用が百日咳毒素及びCキナーゼやチロシンキナーゼ阻害剤で阻止されるという予備実験成績を得ているので、どのようなC蛋白がCINCのシグナル伝達に関与するのか、またどのようなキナーゼの活性化が関与しているのか、免疫沈降、in vitro kinase assayおよびphosphoamino分析その他等分子生物学的手法を用いてシグナル蛋白の同定をしたい。またCINCの細胞内カルシウムの動態に及ぼす影響についても、ジギタル・イメージング・マイクロスコーピック・システムを用いて検討する予定である。
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